無能な教師の勘違い

 私の所属する教会に神学生が与えられて2年目(感謝!)、ハタから見ると、毎週何本ものレポートに責められて、日々、大奮闘、喘息持ちなのに大丈夫かな、とみんながいつも心配しています。  そもそも、ご本人には口が裂けても言えないけれど、なんでそんなにたくさんのレポートを書かなければならないのか、正直、クビをかしげざるを得ません。  例えば、ウィトゲンシュタインやソシュールの講義録を見て…

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21世紀の「バベルの塔」の理解

 創世記のバベルの塔のお話しは、普通は、人々がたった一つの言語しか持っていない世界が否定されたお話し、と理解されています。  しかし、I.イリイチが「シャドウ・ワーク」で指摘するように、人々がひとつの言語しか持っていない社会は、政策的に作り出されたものであって、ある時代以前には存在しなかったと考えられます。  実際、僕は行ったことはないけれど、海外に行けば、学歴とは無関係に、複数の言…

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I.イリイチ「シャドウ・ワーク」再読(覚書)

 本書の初訳は1982年に出版されており、僕が最初に本書を読んだのは恐らく1984年のように記憶している。  そして、今回、ついに図書館から借りだして再読に及んだのだけれど、本書がもたらす衝撃は約40年を経た今日にもまったく色あせない。  本書を始めイリイチの業績を積極的に日本に紹介した玉野井芳郎氏はすでに亡く、また、イリイチ本人も亡くなってしまった。  僕は、彼らの警告を活かした…

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紙・IT・通貨

1 イリイチのやり残したこと  晩年のイヴァン・イリイチは、当時、本格化していたIT革命とはなにか、という疑問への答えを求めて12世紀ルネサンスの研究に向かいました。  その成果は、1988年の「ABC」と1993年の「テクストのぶどう畑で」の2冊の著作に結実しましたが、残念ながら2002年に召天しました。  イリイチは、12世紀後半に「紙」が普及したことが知の世界に与えた…

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ジェンダーは誰のために必要か

1 まずは本のご紹介  川口恵美子さんの「戦争未亡人  被害と加害のはざまで」(ドメス出版、2003)を読みました。  内容を簡単に紹介すると、昭和13年頃からサンフランシスコ講和条約までの期間の女性史で、タイトルにある通り、戦争によって夫を失った女性たちの辛酸を描いたものです。  しかし、この本の真に驚くべき点は、ほぼ100年前の歴史であるにもかかわらず、そこに描かれている女…

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行商のおばあさんから見る高度経済成長と市場経済

 昭和30年代、私の祖母の家には時々、行商のおばあさんが来ていました。  祖母の家は、札幌の琴似にあって、お風呂は銭湯、水道は手押しポンプ、そもそも借家!と決して裕福な家ではありませんでしたが、それでも台所には勝手口がありました。 無駄に土地が余っている北海道ならではの作りだったと言うことでしょうが、その勝手口に腰を下ろして、祖母と行商のおばあさんが楽しそうに談笑していたことを覚えていま…

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「ニーバーの祈り」が教える21世紀

「変えることのできるものと、変えることのできないものとを識別する」というニーバーの祈りについては、昨年9月に一度、愚考するところをアップしましたが、もう一度考えてみようと思います。  これは祈りですから、必ずそれは聞き届けられると私も信じます。  しかし、現実には、聞き届けられて正しい区別が与えられるまで待てないという人が圧倒的多数でしょう。  そうすると、世の中で行わ…

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パウロ・フレイレをオススメする公開メール

Y兄  頌主。  昨日、パウロ・フレイレ、面白いから読んでみて!ということを一言、申し上げました。  ただ、その際にあらかじめお伝えしたいと思うこともあって、それをメールで差し上げようかとも思いましたが、普通の人はこんな長文のメールはウンザリでしょうから、お時間のあるときに見ていただけるようブログにアップして、メールでURLのみご案内することとしました。  さて、僕が読ん…

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ポラニーに聞く「分かっちゃいるけどやめられない」

 私たちは皆、原因があって、結果が生まれるという考え方、いわゆる因果律によって社会のなかで生きていくためのルールを学びます。  だから、その逆、つまり結果をナントカしたかったら、その原因に遡ればナントカなるはずと思い込むのは自然の成り行きです。  しかし、現実はなかなかそうならないし、むしろ、そんな単純なことで世の中が良くなるなら、とうの昔に理想の社会が実現しているはずです。 昔の流行…

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今年、読んだ本

クリスマスも終わったことだし、今年、読んだ本をとりまとめてみました。  なお、書名の後に*のついた本は横浜市立図書館から借りた本です。金沢図書館の皆さん、多謝、来年もよろしくお願いします。 1   I.イリイチ「ブドウ畑」 2 I.イリイチ「ABC」  12世紀の半ば、西欧における知の歴史に不連続が生じたという著作。知の歴史を考えるための基本文献。2を読んでから1を読んだ方がいいです…

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クリスチャンの倫理的責任について(中間的とりまとめ)

 自分の中でどうしても気になっていることがある。  ただ、現時点ではまだまだ生煮えであって、L.デュモンの「個人主義」に関する論考、M.ウェーバーの古典的著作などをもう少し勉強した上でなければ、結論には至らないと思っている。  しかし、モヤモヤしているモノをこの時点で少し書き出してみて、今後の勉強に集中できるようにしたい、というのが本稿の目的である。  さて、教会が社会にど…

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変えてはいけない~「ニーバーの祈り」について

 ニーバーの祈り、といわれる以下のような有名な祈りがあります。(Wikiより引用)  「神よ、変えることのできないものを静穏に受け入れる力を与えてください。   変えるべきものを変える勇気を、   そして、変えられないものと変えるべきものを区別する賢さを与えて下さい。」  とても心に沁みる祈りですが、その一方でいわく言いがたい違和感も感じていました。  そして、最近、やっと…

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「お互いさま」「今のままでいい」への転換

 ルイ・デュモンの「ホモ・ヒエラルキクス」を読みました。  以下に私なりの本書の理解を述べた上で、今の日本の教会における伝道について述べてみたいと思います。 1 発展史観と復元史観  本書は、基本的にはインドのカーストを論ずる本ですが、彼の問題意識は近代西欧社会が「ヒエラルキー」を無前提に社会悪と評価する結果、その肯定的で社会にとって大切な意義を見失っている、という点にある…

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「現人神に捧げられた焼き尽くす捧げ物」広島・長崎

 「性からみた核の終焉」ブライアン・イーズリー著(里深文彦監修 相良邦夫・戸田清訳 新評論刊 原著は1983年)は、男性原理による女性原理の抑圧という視点から核兵器開発の歴史を検討する著作で、著者自身の物理学者という知見を生かした丁寧な叙述が魅力的な一冊です。  特に、その第3章はナチス・ドイツが降伏し、戦後処理が国際政治の主要関心事となる中で、なぜ米国は広島・長崎への原爆投下を強行し…

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なぜパンを石に変えてはいけないのか~技術と信仰のお話

 マタイ福音書の最初のほうに、悪魔がイエス様に向かって石をパンに変えるように誘惑したお話が出てきます。  私たちは通常、このお話を、なぜイエス様は石をパンに変えなかったのか、という観点で理解しようとしますし、それは後続するイエス様の発言がそのように私たちを導いているからなので、正しい理解だと思います。  しかし、それとは別に、人間となった神の子イエス様には石をパンに変えることが許され…

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 高齢者よ、仕事を辞めよう!

 僕は58才で仕事を辞めて無収入生活に入ったナマケモノです。  そのような立場から、例えばマタイ19:27のペトロの発言「わたしたちは何もかも捨ててあなたに従って参りました」とはどういうことだったか、ということを、この頃、良く考えるのです。  ペトロは漁師であったと書いてあります。  ひょっとすると、彼が漁業権を持ち、船と漁具と一定の資金を持った網元だったとも考えられますが、聖…

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レオポルド・コール「居酒屋社会の経済学」のお奨め

 原題は"The overdevelopped nations~The diseconomies of scale"。  つまり、「過剰開発国家~規模の不経済」というのです。  原著の出版は1974年、大部分の論文の執筆時期は1950年代と言うことで、古い本ではありながら、今日の日本のありように照らしても、なお、聞くべきところの多い本です。  例えば以下のような論述。  …

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