なぜ分数の割り算ができないか


 分数の割り算ができない大学生が学力低下の象徴のように取りざたされるが、それは教え方が間違っているのだ、という話を以前にどこかで読んだことがあります。
 どこで読んだか、もう、覚えていないのですが、参考までにその内容をご紹介します。

 足し算と引き算は、数直線上の位置を左右に移動する演算です。
 つまり、足し算は数直線上にあるマーカーを右に、引き算は左に移動させるといくつの位置に来るかを問う演算であり、そのマーカーが10や100、つまり基数の整数乗を超えると繰り上り、繰り下がりの操作が必要になるという演算です。

 一方、掛け算と割り算は2次元の数直線、つまり平面直交座標上の演算ということになります。
 つまり、掛け算は二つの辺をもつ四角形の面積を求める演算、つまり、平面直交座標上のマス目の数をどう計算するかという演算です。
 また、割り算は四角形の短辺と長辺の長さの比、割合を求める演算です。

 このように考えていくと、掛け算は単にマス目を数えるだけの演算だから、九九さえ覚えてしまえば、それほど難しい話ではない。
 しかし、割り算は二辺のうち、任意の一方を物差しに見立てて、他の一方に繰り返し、あてがっていくという、それまでまなんだことのない、抽象的な操作をしなければなりません。
 さらに、その物差しを何回かあてがっみたのちに、余りが生します。
 そこで、そこで演算を中止して剰余を出すのなら、まだしも簡単ですが、さらにその物差しを10分の1、100分の1にした物差しを新たに作り出して、とことん、あてがい続けるとすると、加減算の繰り上り、繰り下がりに比べてはるかに複雑な操作を求められることととなります。
 まして、分数や少数を割り算するには、両方の数を上手に処理できるような、物差しを最初に整えなければならない、つまり通分が必要になりますが、割り算が比を求める演算という出発点から随分、遠いところに来ているので、どうしても理解しにくいの仕方ない。

 ところが、もし小学校の先生方が、加減算をリンゴやお菓子を足したり引いたりで教えたのち、掛け算は加算の縮約であると教え、その挙句に、割り算をケーキやリンゴを切り分ける絵を書いて教えたりすれば、子供が理解できないのは当然であり、大学生の多くが分数の割り算ができないのも無理からぬ話なのです。

 来年度からは小学校でプログラミングを教えるとのことですが、それ以前に、願わくは基本的な四則演算について、もう少しましな教え方をして欲しいと願うばかりです。
 


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