同一労働同一賃金のガイドラインを読む


 同一労働同一賃金については、2016年末にガイドライン案が示されていましたが、昨年末に厚生労働省告示第430号(平成30年12月28日付、以下「ガイドライン」といいます。)として正式にリリースされました。
 そこで、確認の意味も含めて、改めて読み直し、その中で、2点、気が付いたことを申し上げます。
 なお、ガイドライン本文は、以下のURLをご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/000465454.pdf


1、一番大事なポイントは何か

 このガイドラインで一番大事なポイントは、第3「短時間・有期雇用労働者」の中の1「基本給」の項目末尾にある「(注)」の部分です。
 ここで、「主観的又は抽象的な説明では足りず」、「客観的及び合理的な実態に照らして」判断すべきであると述べています。
 このガイドラインには沢山の「問題とならない例」と、その半分以下の「問題となる例」が示されていますが、その全体に共通すべき判断基準を述べている部分はここだけです。
 しかも、この直後に述べられている「2 賞与」の「問題とならない例」のイにおいては「見合いの範囲内」などという曖昧な表現もなされているので、一層、この「(注)」の部分が重要になります。
 
*「主観的又は抽象的な説明では足りず」、「客観的及び合理的な実態に照らして」という判断基準は、2016年の「同一労働同一賃金の実現に向けた検討会」の中で水町勇一郎先生 (東京大学社会科学研究所教授)が基本的な考え方として主張しておられましたが、結局は単なる「(注)」扱いになってしまいました。


2 問題とならない例の読み方

 第3「短時間・有期雇用労働者」の中の1「基本給」(1)の「問題とならない例」のイとして示されているものも、丁寧に読むと、首をかしげるべき部分があります。
キャリアコースごとに基本給が異なることは問題ないとしているものの、それが真にキャリア育成のためのものであるのか、高い基本給を受けている者が実は短期間で離職しており、実態として賃金格差を設けるためだけの制度ではないかを検討すべきではないか、などの検証を経て初めて問題の有り無しが明らかになるはずです。
 他の例についても、前提条件が真に満たされているのか、また、格差が所定時間数や日数の比率と照らしてつじつまが合っているか、を精査しながら運用することが重要だと思います。

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