「崩壊学」のお奨め

 パブロ・セルヴィーニュ, ラファエル・スティーヴンス著「崩壊学」をぜひご一読いただくよう、お奨めします。

 まず、本書の大づかみを申し上げると・・・

 国際的な金融、サプライ・チェーン、化石燃料市場などの複数の複雑系が絡まり合った巨大な複雑系となった今日の世界は、以下のように崩壊が確実である。

「複雑系科学が発見したのは、複雑系システム(経済や生態系が入る)はある閾を超えると急転直下、前進不可能な新しい均衡状態となり、さらには崩壊に向かうということだ。」本書p114

 ただし、崩壊の時期やプロセスなどは「不確実性」の闇の中にあって、我々にはこの崩壊を制御することは不可能である。
 だから、崩壊を運良く生き残れたときに備えて、今から、支え合い、分かち合う生き方に移行することが、今を生きる者に残された最後の、かつ、最善の選択である。

 次に、本書をお奨めする理由ですが・・・

 2015年にフランスでベストセラーになっただけあって、そんなに分厚くないし、とても読みやすい本です*。
 また、J=P.デュピュイなどの先行の重要著作を次々にコンパクトかつ適切にダイジェストしてあって、最近の動向を知る上で重宝、かつ、今後の読書案内としてもとても役に立ちます。
 さらに、長年にわたって日本に滞在したゲーリー・スナイダーの詩が印象的な形で引用されていることも、正直、嬉しい衝撃でした。
 そして、なによりも、本書の結論部分が新約聖書の倫理観に一致し、むしろその今日的な意義を明らかにするものでもあるからです。

 今、アマゾンで見たら2200円とちょっとお高い感じで、横浜市立図書館でも予約が10名待という状況ですが、どなたにでもオススメできる本ですので、ぜひ一度、手に取っていただきたいと思います。

*翻訳も良くこなれていますが、「出典・参考文献」の部分はやや脱力気味。「Ce qui n'est plus possible, voir T. Piketty, Le Capital au XXI siècle・・・(それはもはや可能ではない、T.ピケティの「21世紀の資本」・・・参照)」を邦訳していないのは、はやっぱ不親切かも。

崩壊学: 人類が直面している脅威の実態 - Servigne,Pablo, Stevens,Rapha¨el, セルヴィーニュ,パブロ, スティーヴンス,ラファエル, 絹子, 鳥取
崩壊学: 人類が直面している脅威の実態 - Servigne,Pablo, Stevens,Rapha¨el, セルヴィーニュ,パブロ, スティーヴンス,ラファエル, 絹子, 鳥取

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