今年、読んだ本


 途中で放棄した本を含めて85冊、リストしてみました。「必読」と「オススメ」を明記しましたので、これらの本は良ければ読んでみてください。

1 杉岡幸徳「世界奇食大全」
 お正月の暇つぶし。

2 ウィトゲンシュタイン「論理哲学論考」
 必読。古典的名著。何回目かの再読。

3 P.フレイレ「被抑圧者の教育学」
 オススメ。衝撃的な好著。解放の神学の背景事情を知る上でも重要。

4 佐藤光「21世紀に保守的であると言うこと」第一部第7章で放棄
 新自由主義的戯言に付き合いきれず放棄。

5 「トマ・ピケティの新・資本論」
 オススメ。とても読みやすいけれど内容的には刺激的。

6 ピエール・ロザンヴァロン「カウンター・デモクラシー 不信時代の政治」
 政治学に素人の僕が読んでも面白かった。

7 山口 雅弘ほか「聖餐の豊かさを求めて」
 未受洗者配餐の自己弁護の書。

8 トーマス・クーン「科学革命の構造」
 パラダイムシフトという言葉を生み出した現代の古典。

9 ル・クレジオ「歌の祭り」
 中南米先住民への愛が綴られている。「悪魔祓い」とセット読まないとピンとこないかも。

10 福嶋揚「カール・バルト 破局の中の希望」
 オススメ。バルトについてのちょっと硬派な、でも、丁寧な入門書。

11 林博史「米軍基地の歴史」
 必読。普天間の問題などを考えるための基礎文献。

12 アマルティア・セン「合理的な愚か者」
 不可能性定理についての小論文が衝撃的。ただし、難しい。

13 アマルティア・セン、ジャン・ドレーズ「開発なき成長の限界」
 インド経済の現状についての批判を通して、世界経済の課題を提起している。

14 ピーター・バラカン「ロックの英詞を読むー世界を変える歌」
 ロック好きには面白かろう。

15 国本伊代編著「カリブ海世界を知るための70章」
 ラテン音楽が好きなので読んでみました。

16 坂井豊貴「社会的選択理論への招待 : 投票と多数決の科学」
 オススメ。上記12との関係で読んでみた。複雑な数式を読み飛ばしても大丈夫という親切設計の本。

17 Kenneth J. Arrow , Amartya K. Sen 鈴村 興太郎「社会的選択と厚生経済学ハンドブック」序章のみで放棄
 院生向けの本ということで歯が立たなかった。

18 J.ロールズ「公正としての正義 再説」
 必読。冷戦以降時代の倫理と政治の在り方について考えるための基礎文献。ただし、非常に読みにくい文章。

19 大庭健「民を殺す国・日本」
 必読。現代日本の成り立ちの歴史的な経緯が分りやすいく説明されている。渋沢栄一がお札になったことの、ホントの意味が分るスゴイ本。上記11とあわせて読みたい。

20,21 ルーサ-・ブリセット「Q(上)」「Q(下)」
 エンターテインメントもの。キリスト者には宗教改革期の動乱の様子が分ってタメになる。塩野七生さんとか好きな人には楽しめると思います。

22 女性労働研究第63号「#Me Tooの先へ」
 毎年の刊行物なので、最近の情勢を知るという意味では面白い。編集が素人っぽいところが逆に魅力。

23 A.セン「正義のアイデア」
 オススメ。図書館で借りて、面白くて結局、自分で購入して29で読み直しました。

24 江口再起「ルターの脱構築」
 書評を見て買ったけど、大失敗。お金返して欲しい本。

25 ロベルト・ユンク「千の太陽よりも明るく」
 原水爆開発史の古典。日本人なら読んどいて欲しいな。

26 H.L.A.ハート「法の概念」
 法律とは何か、20世紀の新しい思潮を示す名著。オススメと言いたいところだが、ちょっと、法律の素人には難しいところもある。

27 松谷好明「キリスト者への問い」
 すべてのキリスト者に読んで欲しい天皇制の解説本。

28 モリス・バーマン「デカルトからベイトソンへ」第2章で放棄
 講釈師見てきたような的な歴史認識で、アホくさいので放棄しました。

29 A.セン「正義のアイデア」
 上記23の再読。

30 「中世思想原典集成 精選 4」
 あの憧れの中世思想原典集成が抜粋版で読めるなんて・・・夢のような時代になった。

31 相沢良一「聖書将棋談義」
 普通の人には手に入れにくい大島教会の牧師先生のエッセイ。とても楽しく読めました。

32 大沼保昭・江川紹子「「歴史認識」とは何か 対立の構図を超えて」
 オススメ。慰安婦問題のために奔走した大沼氏の努力の軌跡。A.センの本に参照文献として引用されていて、読んだけれど、心に残る1冊でした。

33 川口恵美子「戦争未亡人  被害と加害のはざまで」
 オススメ。日清日露戦争の頃から戦後の講和条約までの戦争未亡人の話。わずかな資料を丁寧に読み込んで、女性たちの苦闘を今日に蘇らせる好著。

34 ヒラリー・プトナム「存在論抜きの倫理」
 読んで字のごとく。J.デューイのプラグマティズムがあれば哲学なしにも倫理を語ることが可能であると主張するが、26でハートが批判するような、懲罰に対する恐怖だけで人々が倫理的に行動するという短絡思考であって、本末転倒の主張。

35 柄谷行人「世界史の構造」序章のみで放棄
 貧富の格差の拡大は必ず階級闘争を生ずる、と書いているところで、馬鹿馬鹿しくなって放棄。哲学者として不誠実。

36 ドゥルシラ・コーネル「”理想”を擁護する」
 女性たちの対テロ闘争などを紹介しながら、アメリカの一方的なテロへの戦いを批判している。後記37や41を教えてくれた本。

37 ガヤトリ・C・スピヴァク「いくつもの声」
 米国の大学で教鞭を取る一方、インドのスラムで子供たちを教えている筆者が感ずる、記号と意味の恣意性の体験。その恣意性の中で、ポストコロニアルをどう考えるか、という興味深い1冊。

38 柏木英彦「中世の春」
 中世の学者、数名を概観する書物。あんまり印象がない。

39 石浦 章一「王家の遺伝子」
 ラジオでやってたので買ったけど、つまんなかった。

40 チャールズ・ホーマー・ハスキンズ「12世紀のルネサンス」
 上記38と同じような感じ。おなじように、あんまり印象がない。

41 アルンダティ・ロイ「民主主義のあとに生き残るものは」
 上記37の繋がりで読んでみた。多民族国家インドにおける民主主義の危機を語っている。民主主義自体が包摂する矛盾を予感させる。

42 バナード・ウィリアムズ「生き方について哲学は何が言えるか」
 全然、記憶が無い。つまんなかったんだと思う。

43 戸島貴代志・本郷均「現代フランス哲学に学ぶ」
 20世紀のフランス哲学を概観する入門書。とても上手にとりまとめられていて、ちょっと全体像を知りたいな、と言うときに、便利な1冊。

44 C.S.ルイス「愛とアレゴリー」
 中世の文学についての専門書。難しかった。

45 日暮吉延「東京裁判」
 駄作。

46 エドマンド・S・フェルプス「なぜ近代は繁栄したのか」第3章で放棄
 イノベーションを振り回すだけの内容で読むに堪えない。

47 「中世思想原典集成 5」
 上記30の続き、中世思想の変遷を掴むことが出来る。

48 H.ベルクソン「道徳と宗教の二つの源泉」
 必読。学生時代以来の再読だが、同様の衝撃を与えた名著。

49 J.デリダ「声と現象」
 フッサールを読んでいないので分りにくいが、頑張って読み進むほどに、記号と意味のあいだに無限のレイヤーが存在するはずだ、というフッサール批判であることが伝わって来る。

50 森まゆみ「お隣のイスラーム」
 暖かさを感じさせるインタヴュー集。読んでて楽しい1冊。

51 後藤政子「キューバ現代史――革命から対米関係改善まで」
 必読。キューバの過去と現代を一望できる。ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブでキューバという国に関心を持って呼んだけれど、マルティ主義やカストロの人間性に感動しました。

52 大黒俊二「嘘と貪欲」
 キリスト教がなぜ利子を許容したのか、中世商人が為替交換でどのように利ざやを稼いだか、面白い話が一杯。

53 P.リクール「物語神学へ」
 必読。整合性を超えて真の弁証法を追求するという本。アウジュヴィッツを忘れてはいけない、というエッセイは心を打つ。

54 J.L.オースティン「言語と行為」
 上記53に言及があり読んだけれど、行為としての発話についての著書。聖書を読む上では非常に啓発的。

55 吉岡乾「なくなりそうな世界の言葉」
 とても良く出来た大人の絵本。楽しい1冊。

56 町田康「コトバの謎解き ソシュール入門」
 ソシュールについて今一度、勉強し直そうと思って読みました。とても上手にまとめられていて、哲学を勉強しようという人には手に取って欲しい1冊。

57 ノーマン・ペリン「編集史とは何か」
 新約聖書の高騰批評についての現状を伝える1冊。

58 フランク・カーモード「秘儀の発生」
 37の著者と同じような文芸批評の専門家による新約聖書のテキスト批評。手法や視点が斬新で興味深い。

59 久米博他編「構造主義と聖書解釈」
 啓蒙主義時代以来の高等批評について行けない僕みたいな人には、構造主義的な読みの方が遙かに理になかった読みのように思える。原典に当たる必要は無い、だって、いつの時代でも翻訳で聖書を読むんだから、翻訳で聖書を解釈すべきだ、という主張は、思わず膝を打ってしまう。

60 内山節「貨幣の思想史」
 19世紀の経済学者の貨幣理解を丁寧に辿っている。ただし、ベンサムに触れていないのがちょっと物足りない。この著者の他の著作について後述の湯澤規子が言及しており、それらの著作が面白そう。来年の楽しみ。

61 グイッチャルディーニ「イタリア史 1」
 初版出版時に購入して読み終えているが、聖書通読を終えたので、メインの読書の傍ら、こちらを通読することにした。

62 マルクス「ゴータ綱領批判」(岩波文庫版76ページまで)
 基本文献を念のために読んでみました。当然、必読だけど、まぁ、いまさら感もあるね。

63 ジョン・マン「人類最高の発明アルファベット」
 聖書を読むためには文字を知ることから始めよう、と言うわけで読みました。良い意味で、さすがテレビマンって感じの読みやすい本でした。

64 前川和也編著「コミュニケーションの社会史」
 コミュニケーションについて行政組織から暴力まで後半に論じていて面白い。コミュニケーションにおいて女性が果たす密かな貢献を示唆するという意味でも面白かった。

65 チョ・ナムジュ「82年生まれ、キム・ジヨン」
 色んな意味で考えさせられる1冊。ただし、問題提起に留まっている。

66 A.E.マクグラス「神学のよろこび」
 たいして面白くなかった。神学史を述べることはしない、と言いつつ、結局、不徹底でとりとめの無い神学史になっている。

67 マヤ・モリオカ・トデスキーニ編「核時代に生きる私たち―広島・長崎から50年」
 欧州人の視線から見た核問題。アウシュビッツとの比較の中で、風化に任せる日本社会への警鐘を鳴らしている。

68 岡田 明子, 小林 登志子「シュメル神話の世界」
 旧約聖書前史という意味で面白かった。

69 ポール・ウィリス「ハマータウンの野郎ども」
 必読。貧富の差に分断された社会の中で人々がどのように抑圧されていくのかを描く第1部、その打開策を必死に模索する第2部、いずれも読み応えがある。右傾化する世界の情勢を考える上でも重要。

70 ミレイユ・ラジェ「出産の社会史」
 アナル派の1冊。たいして面白くなかった。

71 労働新聞社「2019年5月成立のパワハラ対策法に対応! 事例で学ぶパワハラ防止・対応の実務解説とQ&A 」
 ぜんぜん、面白くない。

72 湯澤規子「胃袋の近代」
 必読。この1冊で読んでも面白いが、実は、後記82とセットで上下1冊になっているので、両方、読んで欲しい。アナル派的な歴史叙述に志を持って取り組んでおり、大きな可能性を感じさせる。後記82の最後を読むと湯澤の志の出発点が分って、心温まる。

73 岩井克人「ヴェニスの商人の資本論」
 ひどい1冊。図書館で借りたので金返せとは言わないけど。

74 リン・ホワイト「機械と神」
 近代的な技術開発の歴史について独特の視点から批判的に論じている。面白いが、今となっては、ちょっと古い感じ。

75 リン・ハント「グローバル時代の歴史学」
 必読。湯澤の本に言及があって読んだけど、歴史とは何か、21世紀の歴史記述はどのようなものでありうるか、に挑戦している。非常に面白い。

76 大江志乃夫編「日本ファシズムの形成と農村」
 これも湯澤の本に言及があって読んだ。ごりごりのマルクス主義史観なんだけど、旧五箇村の資料に基づいた堅実な歴史研究で読み応え十分。上記の72の副読本として、国体護持のための日本が如何に形成されたかがよく分る好著。

77 竹内慶夫編訳「セレンディップの三人の王子たち」
 セレンティピティという言葉の語源になった物語。ただそれだけの興味で読みました。

78、79 グイッチャルディーニ「イタリア史 Ⅱ」、「イタリア史 Ⅲ」
 上記61の続き、全9巻なのでまだまだ、先は長い。

80 M.ブロック「西欧中世における自然経済と貨幣経済」
 アナル派の古典的名著。貨幣史についての堅実な研究書であると共に、新しい歴史記述の息吹に満ちている。

81 ポール・バレリー「教皇フランシスコの挑戦」
 必読。今年来日した教皇フランシスコの罪と悔い改めを丁寧に描いている。

82 良知力「向う岸からの世界史」
 ウィーン革命の失敗を通じて近代的な発展史観そのものを批判しており、とても勉強になる1冊。

83 湯澤規子「七袋のポテトトップス」
 必読。上記72の続きになる本。題名の由来になったエピソードはネタバレになるから書けないけど、そこを立ち読みしただけで、全部を読みたくなる1冊。

84 後藤 政子,樋口 聡編「キューバを知るための52章」
 上記51の繋がりで読みました。情報としてはちょっと古い。ただ、キューバ音楽好きにはこっちの本も楽しい1冊でした。

85 上智大学中世思想研究所編「中世の自然観」
 難しい本。9世紀のエリウゲナからルネサンスまでの自然観の変遷を知ることが出来る。

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