今年、読んだ本

クリスマスも終わったことだし、今年、読んだ本をとりまとめてみました。
 なお、書名の後に*のついた本は横浜市立図書館から借りた本です。金沢図書館の皆さん、多謝、来年もよろしくお願いします。

1   I.イリイチ「ブドウ畑」
2 I.イリイチ「ABC」
 12世紀の半ば、西欧における知の歴史に不連続が生じたという著作。知の歴史を考えるための基本文献。2を読んでから1を読んだ方がいいです。

3  A.カミュ「異邦人」
 後記33のような視点から読み直してみました。新鮮。

4  鶴岡真弓「ケルト/装飾的思考」*
 上記1、2の関連でアイルランドの中世美術について読みたかった。

5  A.モンロー「紙と人との歴史」*
 上記1、2の関連で羊皮紙から紙への変化について知りたかった。

6  D.ベネット「朝の9時」
 一コリ14章について先生にお尋ねした際に、先生に貸していただいた本。異言の働きと米国聖公会におけるリバイバル運動の証。後記37の冒頭に紹介されているリバイバル運動に関する章の中でも言及されている。

7  旧新約聖書通読
 やっと三回目・・・

8  「カラー図解で分かるジェット旅客機の操縦」*
 子供みたいですが、飛行機が好きなんです。

9  スタディ版旧約外典通読
 チョ~高かったけど、クリスチャン必読。というかスタディ版を買って、しみじみ良かった、です。

10  「人類の知的遺産23 エラスムス」*
 図書館の書架で発見しましたが、掘り出し物。上記1、2、5を読んだ後だと宗教改革の時代の社会的な受容の様子がよく分かる。

11  「アウグスティヌス著作集21、22」*
 上記1、2、後記13の知見を前提に読むと、アウグスティヌスの息づかいが伝わってくるような臨場感がある。

12  I.イリイチ「生きる意味」
 イリイチの思索の足取りを知ることの出来る貴重なインタヴュー。

13  ウォルター・ジャクソン・オング「声の文化と文字の文化」*
 上記1、2において度々、言及されていた本。聖書を読むにあたっても、歴史を考えるにあたっても、色々の古典を読むためにも、基本文献。

14  B.ドゥーデン「女の皮膚の下」*
 18世紀の医師の膨大なカルテを読み解きながら、肉体の認識が歴史、つまりその時点の文化に規定されることを教えてくれる好著。

15  G.バシュラール「水と夢」*
第1章で放棄。 難しくて最後まで読めませんでした。スイマセン…て誰に謝ってるんだか。

16  レオポルド・コール「居酒屋社会の経済学」*
 大量消費社会による人間疎外について、とても分かりやすく書いてあった。古典的名著。

17  ジャック・エリュール「現代人は何を信ずべきか」*
 マルキストからクリスチャンになった人の文明批評。社会について、信仰について多くの気づきを与えてくれる。エリュールの本職は法制史らしいので、そっちの勉強もしてみたいと思ってます。

18  三浦綾子「ちいろば先生物語」*
 まぁ、読んで字のごとし。

19  ユルゲン・モルトマン「希望の神学」*
 上記のエリュールに言及があって、借りてみたものの非常に難しい。ドイツ観念論やバルトなどの神学についての知識がない自分にはシンドイ本でした。でも、モルトマンをもっと読んでみたいと思ったから不思議。私としては後記34、35の順に読むことをオススメします。

20  ユルゲン・モルトマン「終わりの中に始まりが」
 上記19よりは分かりやすい。モルトマンは自分で買わなくちゃね、と確信した本。

21  佐藤康人「ラジオ問わず語り」*
 ラジオ好きなので、ラジオのことを知りたくなって読んだ本。

22  アンドレ・ゴルツ「労働のメタモルフォーゼ」*
 190ページで放棄。資本主義、産業社会、経済合理性、労働生産性の発展史観などの実証不可能な観念を前提に議論している。しかも、今日の世界的な景気低迷の中では空疎な議論にしか聞こえない。

23  ジョン・ソブリノ「エルサルバドルの殉教者」*
 上記20に言及あり読んでみました。去年、「ローマ法王になる日まで」という映画を見ましたが、それと合わせて中南米の軍事政権下における社会事情や教会の状況を伝える本。開放の神学の入門書。

24  三浦つとむ「弁証法はどういう科学か」*
 若いころに何度か挑戦しては放棄した本にリヴェンジ!っていうか、なるほど、こんな本なら誰でも途中放棄するな、と納得する結果に。悪書のお手本、イデオロギーのダメダメのお手本、を読みたいという変態さんにはオススメ。

25 I ,イリイチ「生きる思想」
 一番最後の章、「命」に関する章はクリスチャン必読。

26  ブライアン・イーズリー「性からみた核の終焉」*
 19世紀末の放射線の発見から水爆開発までの歴史を綴った本。日本への原爆投下に至る詳細な、ほぼ日録的な記録はとても勉強になりました。

27  ルイ・デュモン「ホモ・ヒエラキクス」*
 上記17で言及があり読んだ本。全然、知らなかったんだけど欧米ではインド社会研究に分厚い蓄積があるようで、その中の一冊。ただし、西欧社会が否認するヒエラルキーが社会の復元力を生み出しているとして、西欧社会を相対化した出色の重要著作。

28  「ジェンダー・文字・身体-I.イリイチ、B.ドゥーデンを囲んで」*
 80年代にイリイチが来日したときの座談会などの、いわばムック本。イリイチのこの時点での横顔が活写されていると言う意味でも、また、幾人かのの日本の研究者を一瞥するという意味でも興味深い。ただし、造本が脆弱なので、読みたい人は早く読まないとボロボロになりそう。

29  J.モルトマン「いのちの泉」
 上記20の前に書かれた著作。これも刺激的な本。

30  C.ダイアモンド「ウィトゲンシュタインの講義 数学の基礎篇」
 久しぶりに脳みその哲学分野を刺激すべく読んでみた。やっぱ難しいけど、いつかヴィトゲンシュタインとかホワイトヘッドとかをしっかり勉強してみたいなぁ、と見果てぬ夢を見るオジサンでした。その前に集合論を勉強しないとだめ、かな?

31  伊藤るり・足立眞理子編著「国際移動と<連鎖するジェンダー>」*
 上記28で非常に興味深い発表をしていた足立眞理子の本を探したらこれを見つけたので読んでみた。再生産労働についてどの論文も面白くて刺激的だったけど、足立の論文はイマイチ。

32  安里英子(あさとえいこ)「琉球弧の精神世界」*
 上記31と同様に上記28で非常に興味深い発表をしていた安里。観光旅行では出会えない沖縄を知ることが出来るという意味では好著。ただし、あくまでジャーナリスト的な視点の本で期待外れ。上記28掲載のお話が再掲されている。

33  J.ボードリヤール「消費社会の神話と構造」*
 古典的名著。重い腰を上げて読んだら、やっぱ古典的名著たるにふさわしい著書。

34  モルトマン博士招聘委員会編「人類に希望はあるか」
 上記29などの巻末広告を見て、また、上記32を読んだこともあり購入しました。値段もお手軽でコンパクトな軽装本なので、モルトマンの入門書としてオススメ。下記35のレジュメとして先に読んでおいて良かった!の一冊。

35  J.モルトマン「希望の倫理」
 モルトマンが84歳で書いた大著。彼としてはスワン・ソングのつもりだと思います。環境問題や生命倫理について神学的な議論がなされていて、とても勉強になりました。

36  W.ラウシェンブッシュ「キリストと社会の危機」*
 モルトマンが言及していた本。20世紀の初めに出版された、当時のベストセラー。近代資本主義社会という「悪魔の挽き臼」(ポラニーにある表現)で荒廃していく人々と社会に教会はどのように向き合うかを考察している。今日の視点で読んでもけして古びてないことが、かえって嘆かわしい。

37  ミヒャエル・ヴェルカー「聖霊の神学」*
 上記35に言及があった本。モルトマンの後継者の一人。神の霊と、偽の霊をどう見分けるのか、という問題意識から出発して、旧新約聖書を読み進める著作。結構難しかったので、もう一度、読み直したいと思っています。

38  L.デュモン「個人主義論考」*
 上記27のあとにもう一冊、重要著作があるみたいなんだけど、先にこっちを読んじゃいました。前半はキリスト教の歴史に沿いながら、個人主義の成立を考察し、ファシズム成立の謎に挑むという内容。後半は社会学入門的な内容。デュモンは面白いです。

39  井上章一「京都ぎらい」*
 朝日新聞のサイトで見つけたので、単なる「いけず」な気持ちで読んでみました。珍しくウチの奥さんも読んでました。

40  N.ルーマン「社会システム理論の視座」*
 上記37で頻繁にルーマンについての言及があり、読んでみました。社会学のお勉強という感じの本でしたが、別の著作を読んだ方がよかったかな、と思っています。こう、ご期待!

41  戸谷由麻「東京裁判「神話」の解体」
 関東学院大学で行われた著者の講演会の会場で感激して購入。ヒロヒト天皇の戦争責任について勇気ある指摘と説明がある。ただ、著者がハワイ大学の先生と言うことは、日本の学会ではこのことがタブーである、ということをうかがわせて、悲しい。この本と上記26を合わせ読むと、よりヒロヒト天皇の戦争責任が鮮明になる。

42  K.ポラニー「大転換」
 去年読んだブローデルやイリイチが繰り返し言及している古典的名著。文献解題の中に赤いウィーンが言及されて、そこをちょっと読んでから、読み進めるのも「通」な読み方かも。若桑さんの解説本を読んだり、イチイチの言及なんかで、分かったような気になってましたが、やっぱ原典に当たるべきだった、しかももっと何年も前にと、痛感しました。絶対に読むべき一冊。

43  F.ブローデル「歴史入門」
 スマホより少し厚いくらいの文庫本で、一日で読み終わります。著者自身による「物質文明・経済・資本主義」の梗概。原著そのものはハードカバー6分冊で去年読み直したときは、丸々4ヶ月かかりました。梗概だけではなく、原著にも当たって欲しいですね。

44   K.ポランニー「経済の文明史」
 こっちの本はポランニーと称していますが上記42と同一人物。上記42の一部を含む、重要論文を集めて翻訳してあり、入門書としては好適書。でも、やっぱ多少、大変でも上記42を読んで欲しいです。

 図書館が、長期のお休みになるので、とりあえず肩のこらない本を借りてきてあって、この後はそれを読むつもりですが、とりあえず今年の分はここまでにしておきます。

12月27日、舞岡公園のメジロ


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