僕的ブラック企業の見分け方


1 急成長企業は危ない

 わずか1,2年のうちに売り上げや年商が急増した企業は要注意です。
 製造業の低迷がすでに何十年も続いている中で、売り上げが急増したということは、小規模店舗を次々に出店した結果と考えるべきです。

 多数の小規模店舗で働く人たちの働き方を、本社が適切かつ具体的に把握することが難しいのは当然です。
 勤怠と売り上げは電子的ネットワーク機器で把握できますが、それ以外の経営陣に都合の悪い情報に目をつぶることは簡単です。
 典型的な例で言うと、顧客からのハラスメントによる労働者の疲弊や、人手不足に起因する休憩時間の取得困難などの問題があっても、事業主は現場任せ。
 結局、現場のリーダーやアシスタントの人間関係がどんどん悪化し、入離職のサイクルが短くなって、ますます負のスパイラルが深まっていくことになります。

 こうした企業に限って、マスコミや芸能人を使って派手なPRを展開しているものですが、そうしたことが出来るのも、現場の苦労は労働者に押しつけて売り上げだけを吸い上げているからこそです。
 急成長企業、すなわちブラック企業と思ってほぼ間違いないでしょう。

2 受注量に波がある仕事は危ない
 
 業種によっては季節や天候によって労働力の需要に大きな変動が生じます。

 古典的な例を上げると、建設土木の業界では雨風が強ければ現場作業を行うことが出来ませんし、波が強ければ貨物船を接岸できずに港湾荷役作業がストップしてしまいます。
 それ以外にも、ホテルや飲食店などのサービス業、デパートや専門店などの小売業も、季節や曜日、大型イベントなどによって労働力需要に大きな変動が生じる業種として、古典的な部類に入ります。
 また、最近ではネット通販の普及によって倉庫業も日々の労働力需要に変動幅の大きな業種として、新たに仲間に加わってきています。

 こうした労働力需要の変動の大きな業種においては、求人情報誌や日雇い派遣を用いて手軽に人を集め、短期間しか雇用しないので、どうしても労働者を人間としてよりは、単なる原材料として扱うことになりがちであり、企業全体にそのような社風が出来やすくなります。

 そういう中でもっとも多いトラブルが労災隠しです。
 企業側から言ううなら、数日しか顔を合わせない労働者のために、労災の各種手続きや、場合によっては休業補償などの責任を追うことはソロバンに合いません。
 その結果、労災隠しが頻発し、労働者が泣き寝入りすることも多くなりがちです。

 また、数日しか顔を合わせないと思えばこそ、様々な言葉の暴力やセクハラ発言も飛び出しがちです。

 老親の介護など、色々のご事情で日雇い的にしか働けないという人がいることは承知していますが、せめてそうした現実は頭に入れて、自らの権利をシッカリ守って欲しいと思います。
 
3 資産/負債の中身を考える

 以下では、例えば学生さんが就職先を探すような場合のために、少し違った視点で考えてみたいと思います。
 就職活動の中で、企業の財務状況を確認される学生さんも多いと思いますが、その際に、資産と負債の中身、つまり長短の比率に注目して欲しいのです。

 経営学や会計学を学んだ方ならお分かりの通り、資産が負債を大幅に超過している企業が優良企業なわけではありません。
 もし、融資を受けられるなら、商品開発や社員教育に積極投資している企業の方が将来性があると言えるのであり、大事なのは資産と負債のバランスです。
 では、その程度の比率が適切か、というのは企業ごとに将来設計があるはずであり、その話を聞きながら判断していくしかありません。

 ただし、注目してほしいのは資産と負債の長期と短期の比率です。

 色々と差し障りのある話ですので一つだけ具体例を挙げます。
 今から10数年前、渋谷の宮益坂にあった中堅の人材派遣会社が倒産しました。
 派遣労働者が2,000人くらいの会社で、本業そのものは安定的に推移していたのに、経営者が副業で乗り出した事業に大失敗し、派遣労働者の源泉徴収税などに手を付けて滞納したため、国税局から資産を差し押さえられてしまったのです。
 この会社は毎週末に派遣労働者に賃金を支払っていましたので、資産を差し押さえらた瞬間に給与支払いに充てる資金がショートしてしまい、破産申し立てとなりました。
 しかし、もし、土地や工場設備、賃貸建物などの長期資産があったら、それを抵当に銀行のつなぎ資金を融資して貰って、ピンチを乗り越えることもできたかもしれません。
 あるいは長期負債があれば、その負債を保全するための追加融資を受ける道も開けたかもしれません。
 ところがこの会社には短期資産と短期負債のみ、要するに、派遣先から派遣料金を受け取り、一部を利益としてピンハネした上で、残りを労働者に支払うという、いわば手から口へとお金が流れていくその日暮らしの経営をしていたのです。
 だからこそ、余計な手出しをした事業で赤字が出たら、労働者の預かり金に手を付けざるを得なかったのです。

 今、就職活動をしている学生さん達には企業の資産/負債のバランスに加えて、長短のバランスにも注目して欲しいと思う所以です。

4 労働法を学び、労働条件を確認する

 最後に、ブラック企業から身を守るための基本的な対策のお話しです。

 労働者の権利について理解の乏しい方、例えば、パートには有給が付与されないと誤解されている方が、案外、たくさんおられます。
 だから、ブラック企業に苦しめられる前に、まず、労働者の権利をシッカリ学んで欲しいと思います。

 どこの都道府県にも労働相談のための専門部署があり、労働法の基礎知識を学べる印刷物を無料で配っています*。
 トラブルになってから後手に回ることのないように、あるいはトラブルになっている人を助けられるように、今、元気に、普通に働いている間にそうした印刷物を入手して、勉強をしておいてください。
 そして、疑問に思うところがあれば、労働組合や都道府県の労働担当部署、地方労働局などに積極的に電話をして相談するようにしてください。

 もう一つ、大切なことは、労働条件を書面で貰っておくことです。
 そして貰った書面に、「~~する場合がある」という曖昧な記載があった場合には、どのような場合なのか、就業規則などに詳細規定があるのか、規程がなければ、具体的な「場合」を列挙した書面をください、と頼みましょう。
 また、シフト勤務などの場合には「最大○○日」とか「最大○○時間」という記述では意味がありませんので、必ず最小でどの程度まで確保して貰えるのか、これも書面を貰ってください。
 採用面接の中では、書面をくださいとは言いにくいと思います。
 しかし、そもそも労働基準法第15条に定めがあって、使用者は労働条件を書面で明示する義務がありますし、義務違反には同法第150条により30万円以下の罰金に処する規程もあります。
 だから、面接の場で、あるいは採用直後に使用者が書面の提示や就業規則、賃金規程の提示などを拒否したら、その時点で、その会社は労働法について不勉強か、そもそも法令遵守の姿勢がない、と判断した方が賢明です。
 まして、そうした書面を出し渋るような企業や、労働条件の約束と保証をしたがらない企業は、ほぼブラック企業と思った方が良いでしょう。

 以上のお話しが少しでも役に立てばと思っていますが、もし、労働条件や職場のことで困ったことがあったら、積極的に、かつ早め早めに労働組合や行政などに相談を持ちかけて欲しいと思います。

*一例として神奈川県が配布している資料を以下にお示しします。
https://www.pref.kanagawa.jp/documents/4143/2019zentai.pdf

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