頭を冷まして「頭」を冷やす Part3 ルールを操る資本主義経済の姿

 ここで少し話題を変えて、資本主義経済がどのように自分の都合の良いようにルールを改変するか、その実例をお示ししようと思います。
 私がそのことを痛感したのは労働者派遣法の平成27年改正の時でした。
 労働者派遣法は、昭和60年の成立以来、繰り返し規制緩和のための法改正を繰り返してきました。
 しかし、平成24年の法改正は当時の民主党政権下で初めて規制を強化する改正が行われました。
 ただし、過去のほとんどの派遣法改正と同じように3年後の見直し規定が設けられ、改正の直後から3年後の法改正をにらんだ議論が労働政策審議会で始められました。
 その時、人材派遣協会の出した提案は信じられないような大胆な規制緩和を求める内容でした。
 当然、労働組合からは派遣先に対する団交応諾義務の付与などの、規制強化を求める提案も出されました。
 私としては、どちらの提案も正直、大胆すぎる内容だと思いましたし、厚生労働省の事務方や公益委員が現行法を尊重しながら、適当に落としどころを探していくような流れになるだろうと思いました。
 しかし、驚くことに、厚生労働省の事務方がとりまとめた改正案はもっぱら人材派遣協会の提案を引き写したような内容でした。
 なぜ、そんな偏った形で議論が出発したのか、そしてそのまま突き進んでいったのか、私には分かりません。
 しかし、人材派遣協会や経団連がタッグを組んで規制緩和に尽力したことは事実です。
 そして、当然、自民党や官邸に対して、様々なロビー活動を行ったはずですし、そのためにスタッフを集めて活動させるための資金も潤沢にあったと思います(もちろん政治献金も沢山、行ったのでしょう)。
 一方、労働組合側はどうでしょうか。
 間違いのないことは、派遣労働者たちの労働組合はないということです。
 この点は、一人一人、別々の車に乗って一人親方のように働いているドライバーの職場にも同様の事情があるかもしれません。
 だから、労使を交えた議論の場に派遣労働者たちの声は全く届かなかったと言うことだけは、厳然たる事実です。
 また、派遣労働者以外の労働者の労働組合、例えば、大型店舗やオフィス、工場で働く人たちの労働組合についても組織率等がどんどん低下して、ロビー活動をしようにも人材も資金も不足していると思われます。
 そして、そういう一方的な力関係の中で、もっぱら派遣労働者に不利益な派遣法改正が成立したのです。
 この実例を知っているので、先に述べた労働基準法の改正議論についても、同様の経過があったにちがいない、というのが私の予想です。

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック