まず結論から申し上げると、労働者派遣に代表されるような人材ビジネスが、一つの独立した収益事業として成立するためには、その名称に関わらずピンハネ業とならざるを得ないということです。
さらにいうなら、労働市場における需給調整を民間企業に行わせることは、結果として労働者に対する搾取しか生まないので、特別な専門性が必要な職種を除いて、公的機関が独占的に行う制度に改めるべきである、ということです。
その理由を以下にご説明します。
まず、人材ビジネスが行う作業はすべて次のようなステップを踏みます。*1
ステップ1 (求人申込手数料)
まず、求人者(=人を探している企業や団体)の情報を収集する。
ステップ2 (求職申込手数料)
求人者の求める条件に一致しそうな求職者(=働き口を探している人)の情報を収集する。
ステップ3 (適格者の探索等にかかる費用)
求職者の職業能力等を検討して適格な人を選び出し、求人への応募を促す。
ステップ4 (紹介手数料)
求人者による選考が行われ採否が決定される。
ステップ5 (労働者派遣料金におけるマージン)
求人者から労働者に賃金が支払われる。
実は、現行の法律*2では、このすべてのステップについて手数料を取ることが認められていて、各ステップの横に、それぞれ手数料の一般的な呼び名を示しておきました。
さて、そこで、ビジネスとして利益を上げるという観点からこれらのステップを見ていただくと、どのステップが一番利益を生むと思いますか?
ステップの1から4までの手数料は一人の人が就職するまでに、それぞれ一度しか発生しませんので、実はあまり儲かりません。
一方、ステップ5で得られるマージンは、その人がその求人者のもとで働き続けている限り、毎月、決まって入ってくる収益となるので、人材ビジネスは当然のようにこの部分から利益を上げようとすることになります。
以上のことから、冒頭で申し上げたこと、つまり人材ビジネスは必ずピンハネ業になっていくと言うことがお分かりいただけたでしょうか。
だから、もし、あなたが自分の賃金を全額、受け取りたいなら、死んでも派遣で働いてはいけません。
また、職業紹介事業者や労働者供給事業者と取引をするなら、その人たちの主たる収益源が上記のステップ5でないことを確認して下さい(特に労働組合の行う労働者供給事業で高額の組合費値を徴収するような場合は要注意です)。
ところで、もし私の主張することが正しいなら、なぜ、人倫に反するようなピンハネ業が世の中に横行し、テレビやラジオでCMが次々に流れるようなことになるのでしょうか。
その点については、追って稿を改めてご説明します。
*1 政府等が行う公的な需給調整においてはステップ1とステップ2の順番が逆になります。そして、その点にこそ、公的需給調整機関の必要性とそれを支えるための雇用政策の役割が存在するのです。
*2 職業安定法と労働者派遣法をさして言っています。
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