「収穫」とは何か~ヨハネ4:31~38黙想

 これは自分の疑問をいくらか明確にしたいと思ってつづる文章です。

 また、最近、秦剛平氏の著書「空白のユダヤ史」を愚作と思いつつも辛抱して読了したので、氏の信仰からほど遠い物の見方に影響されている可能性があるということも、念のため付け加えます。


1 サマリア人女性に対する差別意識批判

 31節でイエス様は、弟子たちの質問に木で鼻をくくったような受け答えをしています。

 そこで私たちに与えられた問いは、イエス様はなぜ、そんな態度をなさったのか、ということです。

 愚考するに、少し前の27節にヒントがあるように思われるのです。

 つまり、弟子たちはイエス様がサマリア人の女性と話をしているのに、二人を遠巻きに見守るばかりで、イエス様や女性に声を変えることをしなかった、それどころか、我らがイエス様が被差別民族の、しかも女性と話をしていると言う自体に驚き絶句した・・・と読んでみるとどうでしょうか。

 私としては7節にわざわざ女性の口からユダヤ人とサマリヤ人の間の差別意識を述べているのは、その伏線と考えたいところです。

 また、有名なサマリヤ人のたとえ話のなかで、けが人を放置して遠回りして通り過ぎたユダヤ人の姿を思い出せば、イエス様の弟子たちに対する怒りも共有できるかもしれません。

 なお、シリア・フェニキアの女に厳しい発言をされたマルコ7:24以下の記事との整合については私にはよく分かりませんが、少なくともヨハネ福音書の中には同じような記事がないと言うことは、間違いないと思います。


2 「あなたがたの知らない食べ物」とはなにか

 そういう前提に立って私は、「あなたがたの知らない食べ物」を考えると、反社会的分子としての磔刑送りとなることを知りつつ、それでも、罪に苦しむ異邦人、サマリア人の女性にキリストとしての自らを表して、女性を救済に導いたこと、を指していると考えたいと思います。

 
3 38節「他の人々が労苦し」の「他の人々」とは誰か

 25節で女性が「わたしは、キリストと呼ばれるメシアが来られることは知っています」と言っていますが、イエス様が彼女の前に現れる前に誰かがそれを教えたからこそ、彼女の発言があったことは明らかです。
 
 「他の人々が労苦し」とは、そのようにサマリア人にさえ救い主の予言を与えた人があったことを述べているのであり、その方がおられたからこそ、彼女がそのように信仰の入口に立つことが出来た、と考えると、38節の「他の人々」とは旧約の予言者や洗礼者ヨハネであり、それらの人々を使わされた神様の働きが、この世のはじめからあったことが示されている、と私は読み取りました。

4 34節「成し遂げる」の理解

 そのように読み進めると、「成し遂げる」とは神様がこの世のはじめから人々の救いのために行ってきた救済の努力が完成されること、それがイエス様にとっての食べ物であり「成し遂げる」こと、であると読みたいと思います。

 そして、現に本章に登場する女性がキリストであるイエス様を目の当たりにして自らの救いを見いだし、遠巻きにする弟子たちを尻目に町に向かって駆け出しているその姿こそ、「成し遂げ」られた姿があり、イエス様の「食べ物」である、という理解になるとと思います。


5 この読み方の問題点

 ただし、この読み方には大きな問題点があります。

 最大の問題点は、「キリストと呼ばれるメシアが来られること」をあらかじめ知っていることが救済の条件であると、暗黙に前提することになります。

 これは救いの前提として悔い改めは不要であることを示唆する続く5章冒頭の挿話と矛盾しますし、もう少し大きく言うと信仰義認論と矛盾することになります。

 また、些細なことでありますが、イエス様の救いの御業が、社会的差別意識こそ救済の障害であるというような卑称かつ矮小化された理論に換骨奪胎される恐れもあります。


6 さらなる黙想へ

 私は、悔い改めが救いの前提ではないと思いますが、ある種の渇きや苦しみがなければ、そもそもイエス様の十字架のもとに導かれることすらないのではないか、と思います。

 その渇きが、たとえば「キリストと呼ばれるメシアが来られ」、自分はなぜこんなに苦しむのか、神様のご計画の中で自分はどこに位置づけられているのか、自分は神様のためにどう献身すべきなのか、「一切のことが知らされます」という形で表されると読むことも可能だと思いますが、それは行間をあまりに広く読みすぎている、ということかもしれません。



 


  

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